もう20年以上も前のキャッチコピーですが、
その時のテレビコマーシャルを今でもぼんやりと
憶えています。
フェアレディZが深い森の中をゆっくりと走り出てくるシーン。
そこへ流れるのが上記のコピーです。
国産初の230馬力という数字は、その時点では確かに
最上であり、較べることを無意味にさせるものでした。

このコピーって、別の読み方ができる気がします。

それは、人生についてです。
ややもすると人は、すぐ他人と較べ合わせて、自分の幸せを
測ろうとします。でも、本来すべての人はそれぞれ違った人生を
歩んでおり、同じ尺度でその価値や幸福度を計測するなんて
不可能なのです。趣味嗜好や満足度も千差万別ですし、
そもそも人は、他人の人生を生きてるんじゃなく、自分自身の
人生を生きてるんです。たった一度のただ一つの人生だからこそ、
その生を生きる本人にとって、唯一無二の価値を持つんだと
思うのです。

他人との比較からは、嫉妬や蔑みしか生まれません。
でも自分だけの価値ある人生を全うする者にとっては、
他者の人生もまた違った価値を持つ特別なものに
見えてくるんじゃないでしょうか。
なぜなら、個々の人生が違っているという認識は、
それぞれの生き方が個性的なものであることに
気づかせてくれるからです。

個々の人生が個性的であるという認識から考えると、
今話題の「格差社会」って
すごくくだらないものに思えてきます。
勝ち組なども、取るに足らない分類です。
格差という単語の前には、経済とか賃金などの言葉が隠れています。
そもそも違っていて当たり前のものを、
収入という単一の基準で切り取ることが無意味ですし、
人生を札束で測るなんて、あまりに無礼な話です。

人は格差社会なんていうつまらない世の中を生きてるんじゃなくて、
誰とも交換不能な自分固有の個性的な人生を生きてるのです。