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この春、キリンという漫画が映画化されました。

「キリン POINT OF NO-RETURN!」
カタナというバイクで、ポルシェ911を追いかけてたキリンという中年オヤジの話で、もう20年以上前の漫画です。
バイク事故がきっかけで離婚して、カタナを降りていたキリンが、東名高速で911とバトルする物語の実写映画化でした。

あの頃、大学生だった私にとって、キリンは完全におじさんで、
POINT OF NO-RETURN
人生の中でいつか訪れる、もう後戻りがきかない時期を
想像しながら読んでいたのですが、
あの時点でのキリンの年齢…、38歳だったんですね。
もうすっかり年上で、キリンの回帰不能点を過ぎてます。

人生の折り返し地点では、確かに、「よし、これで行こう!」
と覚悟を決めて進んでいくしかない場面に出会うもんです。

キリンにとってのルビコン川が、
東名高速で911とのバトルだったのでしょう。
以前は、一方的に追い回していた「デカ尻」ポルシェ911だったけど、
取引先の911乗りをさりげなく挑発して承諾を得て、
きちんと向き合って競い合う最後の走りは、
無情に過ぎていく人生の時間の中で、
自分の思いに区切りをつけるための分岐点だったんだろうな。

それ以降のキリンの姿はなく、ただ由比の海から引き上げられた
フジツボだらけのカタナでしか描かれません。

漫画キリンはいろんな主人公が代替わりして続くのですが、
このPOINT OF NO-RETURNは、
キリンがカタナごと海へダイブして物語が終わります。

ずぶぬれになったジッポーで、
もらったショッポを吸おうとするキリンが
火がつくのかと聞かれて、
「短い希望(ショートホープ)に火がつくのかって、
出来すぎてるな」
と(記憶はだいぶあいまいですが)答えるシーンが印象的でした。

今回の映画では、このセリフなしで海岸での映像が流れて、
あっさり恋人とツーリングに出かけて終わるってのが
少し物足りなかった気がします。
監督は大鶴義丹ですが、ショートホープのくだりに愛着はなかったのかなぁ。
わずかな希望に火をともそうと、
叶わないなりになんとかがんばってみるのが、
思い通りにならない人生の醍醐味だと思うのですが…。

このキリンの話、誰にも共感されることはないだろうと諦めて、
ブログに書くつもりがなかったのですが、
M田さん、ありがとうございます<(_ _)>

どこへどう進んでいいのか分からずにもがいていた、あの頃が、
通り過ぎてみると一番の青春時代でした。